カタツムリは町のお医者さん👨‍⚕️ 昔の伝承から現代の医療研究までつながる、人々の祈りとは

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今回の記事では、カタツムリと人々との暮らしと医療との関係についてご紹介します。

※長文のため、ダイジェスト版をご用意しました。お急ぎの方は、以下のリンクからGemini Notebookのリンクをご覧ください。

※AIの生成はやや不正確な場合もありますのでご注意ください。

カタツムリ 伝承と科学の物語
「カタツムリは町のお医者さん?」というタイトルと、DNA二重螺旋が浮かび上がるカタツムリのイラストが描かれたスライド。

イベントでの出来事

文字のイベント:文ッ字フリマ

先日、町田市で開催された「文ッ字フリマ」に出展したときのことです。

私のブースでZINEを立ち読みしていた男性が、思わず声を上げました。

「えっ、カタツムリを煎じて飲んでいたんですか?」

私は、「かつて、子どもを産んだ母親のお乳がよく出るように、キセルガイの仲間を煎じて飲む風習があったんですよ」とお話ししました。

すると、そこから話が弾み、気がつけば30分ほども話し込んでしまいました😅

カタツムリといえば、雨の日に道端で見かけたり、殻を背負ってゆっくり歩いたりする姿を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

ところが、昔の人々はカタツムリの仲間に病気の回復を願い、現代では、その粘液などが医療研究の対象にもなっています。

今回は、昔から伝わる民間の風習から現代の医療研究まで、カタツムリと人々の健康との関わりをたどってみたいと思います。

昔のカタツムリ伝承と、人々の暮らしの願い

耳だれに効くとされた、秩父のカタツムリの神様

2023年筆者撮影:秩父市長瀞の岩畳

埼玉県の秩父地方には、「だいろ神(デエロー神)」と呼ばれるカタツムリの神様が伝えられています。

この神様は、なんと「耳だれに効く」と考えられていたのです。

耳の病気が治ったお礼として、子どもの年齢と同じ数だけカタツムリの殻を神様の祠(ほこら)に奉納する風習もありました。

人間の耳の奥には、音を感じ取るための「蝸牛(かぎゅう)」という器官があります。渦を巻いたその形は、確かにカタツムリの殻によく似ています。

しかし、カタツムリと耳だれが、なぜ結びつけられたのでしょうか。その理由は、今のところよく分かっていません。

それでも、自分の子どもが耳の病気に苦しむ姿を見つめる親の気持ちを想像すると、少し考えさせられます。

何とかして、子どもの病気を治してあげたい。

そんな切実な願いが、カタツムリの神様に手を合わせる行為につながっていたのかもしれません😌

母乳がよく出るように願った、大国魂神社の蜷貝

もうひとつ、興味深い伝承があります。

東京都府中市にある大国魂神社には、本殿の裏に樹齢およそ1,000年と伝えられる大銀杏があります。

2025年筆者撮影:府中市大國魂神社の大銀杏

この大銀杏の根元には「蜷貝(にながい)」が生息しており、かつて、産婦の母乳が出ないときに、この蜷貝を煎じて飲むと乳の出がよくなるといわれていました。

近年では、この大銀杏に手を合わせると、産後の肥立ちがよくなるとも伝えられています。

出産は、昔も今も、母親にとって大きな出来事です。医療や育児に関する情報が限られていた時代、母親や赤ちゃんの健康を願う気持ちは、今以上に切実だったかもしれません👩‍🍼

秩父と府中。場所も伝承の内容も異なりますが、どちらにも、子どもの健康や母親の身体を気遣う人々の姿が見えてきます。

カタツムリやその仲間は、単に身近な生き物というだけではなく、人々の願いを託す存在でもあったのですね。

民間薬として利用されてきた「カンニャボ」

カタツムリの仲間が民間薬として利用されてきた地域は、ほかにもあります。

福島県の阿武隈地方や郡山地方では、「カンニャボ」と呼ばれるキセルガイの仲間が、古くから健康に関わるものとして伝えられてきました。

カンニャボは、桑畑などに生息する小さな貝で、「医者いらず貝」とも呼ばれてきたそうです。

伝承では、肝臓の病気や二日酔いに効くとされ、粉末にして飲むなどの方法で利用されていました。

こうした地域の風習を背景に、カンニャボを商品化して販売する企業もあります。

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ただし、昔から利用されてきたことと、現代医学によって効果や安全性が確かめられていることは別です。伝承を知ることは大切ですが、それだけで病気への効果を判断することはできません。

それでも、地域の人々が身近な生き物に健康への願いを託してきたことは、興味深いですね。

エステから医療研究まで。現代のカタツムリ最前線!

では、現代ではどうでしょうか。

実は、カタツムリは化粧品や医療研究の分野でも注目されています。

カタツムリの粘液と化粧品

韓国をはじめとする美容市場では、カタツムリの分泌物を利用した化粧品が販売されています。

カタツムリの粘液には、保湿などの観点から関心が寄せられており、スキンケア製品の成分として利用されてきました。

ただし、化粧品として販売されていることと、特定の皮膚疾患に対する治療効果が医学的に確立していることは同じではありません。

身近な生き物であるカタツムリが、美容の世界でも活用されているのは面白いことです。

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傷口の細菌感染に関する研究

カタツムリの粘液については、細菌に対する作用などを調べる研究も行われています。

2015年に学術誌『Microbiology Research Journal International』に掲載された研究では、カタツムリの粘液が細菌に対してどのような作用を示すかが調べられました。

こうした研究は、カタツムリの分泌物が医療に応用できる可能性を探るものです。

ただし、実験で何らかの作用が認められたとしても、それが人間の傷口で感染を防げることや、実際の治療に使えることを直ちに意味するわけではありません。

皮膚がん細胞に関する研究

さらに、2018年には学術誌『Biomedicine & Pharmacotherapy』に、ヒメリンゴマイマイの粘液に含まれる成分などと、皮膚がん細胞への作用に関する研究が発表されています。

この研究では、がん細胞の増殖を抑える可能性が示されました。

もし、こうした作用の仕組みが明らかになり、医療への応用につながれば、新しい治療法を考える手がかりになるかもしれません。

とはいえ、細胞を使った実験で得られた結果と、人間の病気を治療できることとの間には、大きな隔たりがあります。現段階では、カタツムリの粘液が皮膚がんを治療できると考えることはできません。

昔の人々が経験や言い伝えを通してカタツムリと健康の関係を考えてきた一方、現代の研究者たちは、成分や作用を科学的に調べようとしています。

同じカタツムリでも、向き合い方はずいぶん違いますね。

カタツムリは万能薬なのか?

ここまで、昔の伝承、民間薬、そして現代の医療研究を見てきました。

こうして並べてみると、「カタツムリは万能薬なのでは?」と思う人もいるかもしれません🤔

しかし、ここは少し注意が必要です。

昔の人々が病気の回復を願ってカタツムリを利用していたとしても、その効果が科学的に証明されているとは限りません。

また、現代の研究で有望な結果が得られたとしても、それだけで人間への治療効果や安全性が確立したことにはなりません。

カタツムリの仲間には、人間に感染する寄生虫を媒介するものもいます。

そのため、道端で見つけたカタツムリを傷口に塗ったり、煎じて飲んだりすることは、絶対に避けてください。

健康のために利用するのであれば、伝承や研究の内容を正しく理解し、医学的な根拠と安全性を確認することが大切です。

人々の祈りと、カタツムリのいる暮らし

人々の祈りと、カタツムリのいる暮らし

今回、さまざまな資料を改めてひもといてみて、私が感じたことがあります。

それは、カタツムリが昔から現代に至るまで、人々の健康や暮らしへの願いと、さまざまな形で関わってきたということです。

子どもの耳の病気が治るように。

出産した母親の身体が回復するように。

お酒を飲んだ翌日も、元気に過ごせるように。

そして現代では、病気の治療につながる新しい発見があるように。

そこには、時代や方法こそ違っていても、大切な人の健康を願う気持ちがあったのではないでしょうか。

もちろん、カタツムリに実際にどのような効果があるのかは、伝承と科学を分けて考えなければなりません。

それでも、病気に苦しむ人や、その人を支える家族が、何かに願いを託してきた歴史は、カタツムリという小さな生き物を通して見えてきます。

私は、そこに「人々の祈り」があるような気がするのです。

カタツムリは、病気を治す魔法の生き物ではありません。

けれども、昔の人々にとっては、願いを託す神様になり、暮らしを支える民間薬になりました。そして現代では、科学的な発見の可能性を秘めた研究対象にもなっています。

そう考えると、カタツムリは、私たちの暮らしのすぐそばで、人々の願いとともに歩んできた存在なのかもしれません。

そんな意味では、カタツムリは「町のお医者さん」のような存在だったのではないでしょうか👨‍⚕️🐌

皆さんの住む町にも、カタツムリにまつわる不思議な言い伝えは残っていますか?

参考資料・出典

  • 「カタツムリ信仰」『Wikipedia』— だいろ神(デエロー神)の伝承
  • 「大國魂神社の七不思議について・大銀杏の蜷貝(にながい)」大國魂神社
  • 「カンニャボ」株式会社カンニャボ
  • 「カタツムリの粘液にがんや細菌抑える効果、スキンケアだけでない」ナショナル ジオグラフィック

論文情報

Antibacterial Properties of Snail Mucus on Bacteria Isolated from Patients with Wound Infection

著者:Lawrence B. Etim、Chuku Aleruchi、Godwin Attah Obande

掲載誌:Microbiology Research Journal International、11巻2号、1–9ページ

掲載ページ記載の公開日:2015年10月24日

DOI:10.9734/BMRJ/2016/21731

論文の掲載ページ・抄録・全文PDF

Helix aspersa maxima mucus exhibits antimelanogenic and antitumoral effects against melanoma cells

著者:Chedli Ellijimi ほか

掲載誌:Biomedicine & Pharmacotherapy, Volume 101, pp. 871–880(2018年5月)

DOI:10.1016/j.biopha.2018.03.020

論文の抄録・書誌情報(PubMed)

出版社の論文ページ(ScienceDirect)

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