
先日の朝、通勤のバスを待っていると、ふと街路樹を見上げました。すると、枝葉の間にミスジマイマイがいくつも張り付いているのが目に入ったのです。思わず「カタツムリの実だ!」と言いたくなる景色でした。今回は、そんな木の上で暮らす樹上性カタツムリの世界を覗いてみます🐌
樹上性カタツムリとは?

樹上性カタツムリとは、主に木の幹や枝、葉の上で生活するカタツムリたちの総称です。
彼らは木登りが得意で、季節によって生活場所を変えています。
春になると冬眠から目覚めて木へ登り、秋になると再び林床(地面)へ降りて冬眠に備える種類も知られています。
ちなみに、今回の写真には少なくとも4匹のミスジマイマイが写っています。
しかも、この4匹がいる場所は、およそ地上2.5メートル。普段、私たちがカタツムリを探す高さとは、ずいぶん違います。
なぜ木に登るのか?
理由の一つは、天敵から身を守るためと考えられています。
地面には甲虫や小動物など、多くの捕食者がいます。
木の上へ移動することで、それらの天敵と出会う機会を減らしているのです。
さらに夏になると、枝葉の間は風通しが良く、条件によっては地表より過ごしやすい環境になることもあります。なお、国内のカタツムリで樹上性の主な種類は次の3つの種類です。
- ミスジマイマイ(関東~中部)
- セトウチマイマイ(西日本)
- サッポロマイマイ(北海道)
これらは、樹上生活を行う代表的な種類として知られています。
筑波大学と北海道大学の研究
2017年、筑波大学と北海道大学の研究グループは、「木登りカタツムリはなぜ木に登るのか?」というテーマでサッポロマイマイの生態を調査しました。
その結果、
- 春に冬眠から目覚めると樹上へ移動し、秋になると林床へ戻ること
- 木の上では地上よりも天敵による捕食を受けにくいこと
- 樹上では地衣類など、林床とは異なる食べ物を利用していること
が明らかになりました。
つまり、木の上は単なる避難場所ではなく、「安全な食事場所」でもあるのです。
サッポロマイマイは、季節に応じて生活場所を使い分ける、とても合理的な生存戦略を持っていることが分かりました。
【参考資料】木登りカタツムリ「サッポロマイマイ」はなぜ木に登るのか?
私が観察した木の上のミスジマイマイ達

今回、私が観察したミスジマイマイで特に驚いたのは、成貝だけでなく、小さな子どものカタツムリも高い枝に登っていたことです。
私はこれまでにも、ミスジマイマイの成貝が高い木の上にいる姿は何度も観察してきました。
しかし、まだ小さな幼貝までもが、大人のカタツムリに負けないくらい高い場所にいるのを確認したのは印象的でした。
今回の観察を見る限りでは、ミスジマイマイは大人になってから木登りを覚えるのではなく、幼い頃から樹上で生活できる能力を備えているように感じます。
もちろん、これは今回の観察から得られた一つの気付きです。
幼貝がいつ頃から木に登り始めるのか、どのくらいの高さまで登るのかなど、今後も継続して観察していきたいと思います。
木の上にも、カタツムリの世界がある
私たちはカタツムリを探すとき、つい足元ばかり見てしまいます。
しかし、カタツムリの世界は地面だけではありません。
ときには空を見上げることで、新しい自然の姿に出会えることもあります。
皆さんも、森林や公園を歩く機会があれば、ぜひ一度、高い木の枝を見上げてみてください。
「えっ、こんな高い所にもカタツムリが!」
そんな驚きとともに、まるで木に実った小さな命に出会えるかもしれませんよ🐌
ぷかまる 第二十一話「大きな木の上で浮いたカタツムリ」



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