カタツムリの口球とは何か?が驚くほど良くわかる人になる方法

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カタツムリの身体の部位を調べると、普段は聞き慣れない言葉に出くわすことがあります。今回は、カタツムリや軟体動物を語るうえで非常に重要な器官「口球(こうきゅう)」について解説します。

頭がピンクのカタツムリは、なぜ頭がピンクなのか?

以前、本ブログでも動画を交えて紹介したマルシタラガイ(学名:Parasitala reinhardti)。

マルシタラガイ:筆者撮影

殻は底の丸い円錐形で、シタラガイの仲間です。尻尾の先の突起と、ほんのりピンク色をした頭部が可愛らしいカタツムリですが……実はこのピンク色、内部にある「口球」という筋肉組織が透けて見えている状態なのです。

ちなみに、若いカタツムリは軟体部が比較的に透明なため、食べたものや内部の器官がよく透けて観察できます。

海外のSNSのRedditで食べたレタスが透けているヒダリマキマイマイを投稿

食べたものを削り取る装置「口球」と「歯舌」

現在飼育中のヒダリマキマイマイの口

カタツムリの「口球(こうきゅう)」とは、食べ物を摂取するための筋肉質な器官のことです。

口球の中には、無数の小さな歯が並んだ「歯舌(しぜつ)」が入っています。この歯舌は「歯舌支持器(odontophore)」という土台構造に支えられ、周囲の筋肉の働きによって前後に動きます。

つまり口球とは、「歯舌を動かして食べ物を削り取るための装置一式」なのです。

カタツムリの歯舌には、なんと1万〜2万本もの小さな歯がびっしりと並んでいます。人間のような骨の歯ではなく、やすりやおろし金のように食べ物を削り取って食べています。

5億年以上前から「歯舌」を使っていた?

皆さんは「キンベレラ(Kimberella)」という大昔の生物をご存じでしょうか?

Kimberella NT.jpg
Nobu Tamura (http://spinops.blogspot.com) – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる:Wikipediaより画像引用

キンベレラは約5億5,000万年前(エディアカラ紀)に生息していた、体長数センチほどの生物です。当初はクラゲの仲間と考えられていましたが、その後の研究で一変します。

化石と一緒に、海底の表面を規則的に引っかいたような痕跡(生痕化石)が見つかったのです。

この傷跡は、現在の軟体動物が歯舌で餌を削り取るときに残る跡とそっくりでした。そのため現在では、キンベレラは「初期の軟体動物」あるいはそれに非常に近い生物であった可能性が高いと考えられています。

種を見分けるカギであり、太古から続く命の仕組み

軟体動物の口周辺は、機能ごとに「口球(こうきゅう)」「顎板(がくばん)」「歯舌(しぜつ)」に分けられます。

これらの形状は種類ごとに細かく異なるため、専門家がカタツムリの種類を特定(同定)する際にも欠かせない非常に重要なポイントです。

飼育ケースの中で、目の前をゆっくり這いながら、ぱくぱくと動くカタツムリの小さな口。そこには、5億年以上も前から磨き上げられてきた食のシステムが、今も変わらず息づいているのです🐌✨

カタツムリの口器官(口球・歯舌・顎板)の比較

器官名主な役割構造・材質の特徴種同定における特徴
口球(こうきゅう)摂食システム全体を動かす「エンジン」・歯舌や顎板を収め、筋肉で前後運動を行わせて食物を口内へ取り込む。・非常に筋肉質な組織。
・マルシタラガイなど軟体部が透明な種では、頭部にピンク色などの組織が透けて見える。
筋肉組織そのものの形状比較よりも、内部の歯舌や顎板の配置構造として重要。
歯舌(しぜつ)・食物を削り取る「やすり・おろし金」
・1万〜2万本以上の微小な歯が列をなして並び、対象を削り取って飲み込む。
・キチン質で構成される。
・「歯舌支持器(odontophore)」という土台構造と筋肉によってベルトコンベアのように前後に動く。
・歯の形状、列の並び方、1列あたりの歯の数(歯舌式)が種ごとに異なり、分類
・同定の極めて重要な標準形形質となる。
顎板(がくばん)・食物を固定し切断する「まな板やハサミ」
・上あごに位置し、削り取る際に食物を押さえつけたり、噛み切ったりする。
・キチン質が発達した硬い板状組織。
・弓形、直交型、肋(うね)のある形状などバリエーションがある。
・キセルガイ科をはじめとする多くの陸生貝類で、表面の肋の有無や全体の輪郭形状が種を識別する際の明確な指標となる。

こつむ舎新作紹介

カタツムリをテーマにZINEなどを制作する「こつむ舎」では、この度、新作をリリースしました😊

蝸牛句「アの巻」

蝸牛句「アの巻」|活版印刷で仕上げた、カタツムリの俳句のお札(A8博物ZINE付き) | こつむ舎 powered by BASE
足元にいるはずの小さな隣人に、名前を与えるように一句詠みました。誰の心にもしまってある、幼い日に、小さな生き物の世界をまじまじと眺めたあの記憶。大人になった今、もう一度同じ場所にしゃがみ込んでみると、あの日のカタツムリはまだそこにいて、少し…

蝸牛句「アの巻」は、カタツムリをテーマに「ア、イ、ウ、エ、オ」で始まる俳句を5つ読み、一枚、一枚、活版印刷で印刷した、ちょっとお札(ふだ)のような俳句集です🙏

さらに、俳句の解説書の豆本(A8サイズのZINE)付きです。

俳句の解説書の豆本

ちなみに、活版印刷は学研の工作キットです😄

学研:大人のマガジン:小さな活版印刷機

本棚の隅に、ちょこんと飾っておくと、

まるでそこは、カタツムリがいる癒し空間のように🐌✨

博物と文学がクロスオーバーした、こつむ舎ならではの世界観をどうぞお楽しみください。

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