カタツムリは「陰徳」の生き物?―人知れず、私たちの世界を豊かにする小さな存在―

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百尺
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カタツムリは、人知れず私たちの暮らしや自然の中で、大切な役割を果たしている生き物です。今回は、中国の古典に由来する「陰徳陽報」という言葉になぞらえて、カタツムリが人知れず行っている「いいこと」をご紹介します。

「陰徳陽報」とは

陰徳陽報:百尺作

「陰徳陽報(いんとくようほう)」とは、人知れず良い行い(陰徳)を積んでいる人には、やがて目に見える良い報い(陽報)がある、という意味の言葉です。

良いことをしたら、

「それ、私がやったんですよ😤」

と、ついアピールしたくなることもありますよね。

SNSで何かを発信すれば、誰かに「いいね!」を押してもらえる。
仕事で成果を上げれば、評価してもらえる。

そんなふうに、何をしたのか、どれだけ貢献したのかが「見える」ことが当たり前になった今だからこそ、

人に知られないように、そっと誰かを助ける。
誰にも見られていなくても、道端のゴミを拾う。

そんな生き方を表す「陰徳」という言葉が、なんだか新鮮に感じられます。

そして、よく考えてみると――

カタツムリは、まるで「陰徳」を体現しているような生き物なのです。

森の循環を支える

森の苔を食べるミスジマイマイ

カタツムリを見つけると、私たちは「かわいい」と思うかもしれません。

でも、森の中で暮らすカタツムリをよく見てみると、かわいいだけではない、大切な役割を担っています。

● 枯れ葉や植物質を利用する

カタツムリやナメクジの仲間には、落ち葉や朽ちた植物などを利用するものがいます。

森に落ちた葉っぱは、いつまでもそのまま残っているわけではありません。

さまざまな生き物がそれを食べたり、分解したりすることで、少しずつ自然へと還っていきます。

カタツムリも、そんな物質循環の一員なのです。

● 食べたものを、再び自然へ

カタツムリが食べたものは体内で消化され、その一部は糞などとなって再び環境へ戻っていきます。

さらに、カタツムリ自身も、鳥や両生類、爬虫類、昆虫など、さまざまな生き物の食物になります。

つまり、

食べることも、食べられることも、自然の循環の一部。

カタツムリは、森を豊かにしようと考えているわけではありません。

ただ、自分の命を生きている。

それなのに、その小さな営みが、知らないところで自然の循環を支えているのです。

「久しぶりに」心を豊かにしてくれる

大人でも、雨上がりの道端でカタツムリを見つけると、

「あっ、カタツムリだ!」

と思わず足を止めてしまうことがあります。

SNSを眺めていると、

「カタツムリを久しぶりに見た!」

という投稿を見かけることもあります。

先日、私がZINEの制作で印刷スタジオを訪れたときのことです。

スタッフの方が私の作品をご覧になって、

久しぶりにカタツムリを見ました」

と声をかけてくださいました。

さらに、

久しぶりなのか、それとも、気にしなくなっていただけなのか? カタツムリについて考えるきっかけになりました

と、嬉しい言葉をいただきました😊

もしかするとカタツムリには、

私たちが忙しい日常の中で忘れていた感情を、そっと呼び起こす力があるのかもしれません。

癒してくれる。

そして「久しぶりに」立ち止まるきっかけをつくってくれる。

忘れていた記憶を呼び起こしてくれる。

それもまた、カタツムリの「陰徳」なのかもしれません。

カタツムリから学ぶ「陰徳陽報」

リスグラフのスタジオで制作した、カタツムリのZINE作品

一年前から、私はカタツムリをテーマにしたZINEを制作しています。

振り返ってみると、カタツムリを飼い始めたことをきっかけに、私の世界はずいぶん広がりました。

自然を見る目が変わり、知らなかったことを調べるようになり、ブログを書くようになり、作品をつくるようになり、そして、イベントなどでカタツムリを通じて新しい人たちとも出会いました。

カタツムリの飼育を始めた時は、まさか今のような生活の変化があるとは思っていませんでしたが、もしかしたら、これもカタツムリの陰徳のお陰なのかも知れませんね😌

こつむ舎新作紹介

カタツムリをテーマにZINEなどを制作する「こつむ舎」では、この度、新作をリリースいたしました!

リソグラフ ZINE A6 Right or left? 2nd edition Mid Sleeve | こつむ舎 powered by BASE
“右か、左か。” 小さな殻の向こう側にある、進化と多様性のストーリー。カタツムリの殻には、実は右巻きと左巻きがあるのをご存知でしょうか?自然の中で静かに並び立つ“左右”の個性を、リソグラフ特有のざらりとした質感で表現した、小さな8ページのア…
リソグラフ ZINE A6 Right or left? 2nd edition Low Sleeve | こつむ舎 powered by BASE
“右か、左か。” 小さな殻の向こう側にある、進化と多様性のストーリー。カタツムリの殻には、実は右巻きと左巻きがあるのをご存知でしょうか?自然の中で静かに並び立つ“左右”の個性を、リソグラフ特有のざらりとした質感で表現した、小さな8ページのア…

『Right or left?』は、右巻きと左巻きのカタツムリを対比させて紹介する、リソグラフ印刷のZINEです。

虎ノ門にあるリソグラフスタジオ ontenさんにて制作

さらに今回は制作中にリソグラフの知識を深めて、印刷方法のレクチャーを受ける機会がありました。そのバージョンも作品としてリリースすることにしました!

清澄白河にある、STUDIO Tuuliさんのリソグラフレクチャーで制作した作品。

同じリソグラフ印刷なのに、ずいぶん印象が違いますよね。

リソグラフは一見するとインクジェットやレーザープリンターのようですが、版画用の版を何枚も作り、一色ずつ刷り重ねて仕上げるアナログな印刷技法です。

今回、カラー版の原稿を準備する手法はどちらも同じです。

カタツムリというのは、右巻きがいたり、左巻きがいたり、実にさまざまな多様性を持つ生き物です。 同じカタツムリでも種類が違い、同じ種類のカタツムリを対比して見ても、1匹1匹どこかが違う。 似てはいるけれど全く同じ個体は存在しない生き物なのです。

そんなカタツムリとリソグラフは、どこか似ている気がして、私は好んでリソグラフで制作しています。

「そして、別のリソグラフスタジオで印刷したら、どうなるのか?」

そんな好奇心から生まれたのが今回の作品です。 (ちなみに、今回の新作は増刷にあたる2nd editionです)

いざ2つのスタジオで刷ってみると、思っていた以上に出来上がりに差が出ました。 そこであえて統一感を持たせる意味で、レーザープリントのスリーブ(外カバー)を付けています。

Right or left? 2nd edition Mid Sleeve /リソグラフ印刷 onten
Right or left? 2nd edition Low Sleeve /リソグラフ印刷 STUDIO tuuli

また、イベントなどでリソグラフの作品を出展すると、「身近にある印刷とリソグラフって、どんな風に違うんですか?」というご質問をよくいただきました。

そこでレーザープリントのスリーブを重ねることで、スリーブを外した瞬間に「リソグラフのカタツムリ」が顔を覗かせ、「違いが直感的に伝わるのではないか」と考えたのも、このスリーブを付けた理由のひとつです。

右か、左か。 アナログ印刷か、デジタル印刷か。 Mid Sleeveか、Low Sleeveか。

2つのリソグラフスタジオを行き来しながら仕上げた『Right or left? 2nd edition』を、ぜひお手にとってお楽しみください!

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