死ぬまでに一度は訪れたい世界のフランスにカタツムリが多いのはなぜ?

生態
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先日、私はカタツムリをテーマにしたZINE作品の出典として、ZINEフェスに参加しました。会場では、思っていた以上に多くの方が私のブースに立ち寄ってくださり、作品を手に取りながら、さまざまな質問をしてくださいました。その中でも、特に多かった質問があります。「カタツムリって、どんなところにいるんですか?」今回は、カタツムリがいる事で有名な国を例に、「なぜ、そこにカタツムリがいるのか?」という素朴な質問を深掘りしたいと思います😊

「正しい答え」と「伝わる答え」のあいだ

カタツムリは、どんなところにいるの?

私は会場で、次のように答えました。

「カタツムリは、自然が豊かで湿度があり、殻を作るためのカルシウムがとれる、石灰岩の多い地域に多いですよ」

生態学的には間違っていない説明です。しかし、初めて聞く方にとっては、「石灰岩」や「カルシウム」と言われても、なかなか具体的な風景が思い浮かばなかったようでした。

そこで私は考えました。カタツムリが“たくさんいる場所”を、もっと実感をともなって伝える方法はないだろうか。

そんなモヤモヤ感が私にはありました🙁

発想を変えて、「有名な場所」から考えてみる

イベントを終えたあとも、その問いが頭から離れず、少しモヤモヤしていました。
そんな時、ふと思い浮かんだのがフランスでした。

フランスといえば、エスカルゴ。
カタツムリが料理として定着し、世界中に知られている、少し不思議な国です。

フランスは、食文化として根付くほど、カタツムリは身近な存在です🐌🇫🇷

実は私は、社会人になりたての頃、フランス料理のレセプションの仕事に関わっていたことがあります。当時は、カタツムリそのものに強い関心があったわけではありませんが、仕事の影響もあり、東京にある日仏学院に通ってフランス語を学んでいました。

その名残もあって、今でも時々、フランスのニュースに目を通すことがあります。そして以前、フランス現地のニュースをもとに、「人はいつからエスカルゴを食べるようになったのか」というテーマで記事を書いたことがありました。

フランスでカタツムリが“文化”になった理由

フランスでカタツムリが特別な存在になったのは、単に「珍味だから」ではありません。

フランスの多くの地域には、石灰岩が豊富に分布しています。これはカタツムリにとって、非常に重要な条件です。殻を作り、維持するためには、カルシウムが欠かせないからです。

さらに、フランスは温帯で、極端に乾燥しすぎない気候をしています。また、エスカルゴの産地のブルゴーニュは、雨が適度に降り、落ち葉が積もり、石垣や庭、農地が人の暮らしのすぐそばにある。こうした環境は、カタツムリにとって理想的な住処になります。

フランスのブルゴーニュは有名なエスカルゴの産地です。

つまりフランスでは、カタツムリが「特別に探さなくても、そこにいる存在」 だったのです。

身近にいて、数が多く、生活の延長線上にいたからこそ、やがて食文化として記録され、洗練され、語られる存在になっていきました。

多かったから食べたのではなく、見え続けていた

よく、「フランスにはカタツムリが多いから、食べるようになった」と言われますが、私は少し違う見方もできると思っています。

カタツムリは、派手でも、目立つ生きものでもありません。静かで、遅くて、湿った場所にひっそりといます。それでもフランスでは、人の暮らしと自然の距離が近かったため、カタツムリの存在が“消えなかった”。

その結果、料理になり、文化になり、今でも「フランスといえばエスカルゴ」というイメージが共有されているのではないでしょうか。

そもそも、エスカルゴを初めて料理として提供した、レストランのシェフは「たまたま、庭にいたから」という程度だったという伝説も残されているほど、カタツムリは身近な存在だったのです😊

では、日本の場合は?

日本にも、たくさんのカタツムリがいます。種類も多く800種類のカタツムリが生息していると言われ、かつてはとても身近な生き物でした。

日本には、各地に多くのカタツムリが生息しています🐌

カタツムリが、子供の唱歌となっているのも、身近な生き物だったという証拠だと思います。

ただ今では、「最後にカタツムリを見たのはいつだろう」、「最近、カタツムリを見なくなりましたね」と感じる方も増えてきました。

これは、カタツムリそのものが少なくなっているという側面もあるかもしれません。

しかしそれ以上に、私たちの生活が昔とは変わり、“カタツムリが見えなくなった”(気にしなくなった)という可能性もあるのではないでしょうか🤔

カタツムリが教えてくれること

自宅で飼育中の、ウスカワマイマイ「初代こつむ」のひ孫です🐌

私が考える、カタツムリが多い場所の条件は、次のようなものです。

  • 殻の材料が足元にあること
  • 適度な湿り気があること
  • 人と自然が無理なく共存していること

ZINEフェスで受け取った、あの素朴な質問は、「カタツムリはどこにいるのか?」という問いであると同時に、「私たちは今、どんな環境で生きているのか?」という問いでもありました。

もしかして、自然の生き物に鈍感な世の中になったのか🤔

雨の日に、少し足元を見てみる。

自然の生き物がいないか、庭の枯れ葉や土の中をのぞいて見ると、
もしかすると、静かに生きているカタツムリが、まだそこにいるかもしれません😌

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