
先日、愛知県豊橋市で開催された軟体動物多様性学会大会に、一般会員として初めて参加してきました。私は研究者ではなく、一般企業に勤めながら、個人でカタツムリの飼育・観察を続け、その記録を本ブログで発信しています。「学会」と聞くと、専門家だけの閉じた場という印象を持たれる方も多いかもしれません。しかし今回の参加を通して、そのイメージは大きく変わりました。
この記事では、本大会の学術的な発表内容には踏み込まず、 開催地や学会の公式情報を紹介しながら、一般の立場で参加して感じたことをお伝えしたいと思います。
豊橋市自然史博物館について
今回の大会の会場は、豊橋市自然史博物館でした。この博物館は、動物園・植物園・遊園地・自然史博物館が併設された「のんほいパーク(豊橋総合動植物公園)」の中にあります。
のんほいパークは、本格的な動物園や植物園、そして自然史博物館が一体となった、国内でも数少ない総合施設です。 動物たちの姿や季節ごとの植物の変化に触れながら、恐竜をはじめとする化石展示を通して、生き物の進化の歴史を学ぶことができます。

ちなみに「のんほい」とは、愛知の方言で「ねぇねぇ、ちょっと」 という意味だそうです。私はこの言葉に、「ねぇねぇ、ちょっと、地球の未来を考えていない?」
という、さりげないメッセージが込められているように感じました。
学会の会場としても、市民科学や生き物を学ぶ場として、とても良いな場所だなと思いました。
軟体動物多様性学会とは
軟体動物多様性学会は、巻貝や二枚貝といった「貝類」だけでなく、
ウミウシやイカ・タコなどを含む軟体動物全体の多様性を対象とした学会です。
その目的は、軟体動物の多様性を探求すること、そして保全のあり方を考えること。
特筆すべき点は、 軟体動物に興味を持つ人であれば、研究者に限らず誰でも参加できる
という開かれた姿勢です。私自身、カタツムリの観察を続け、ブログを通して多くの方と交流する中で、
「生き物を扱う上での知見を、もう一段深めたい」と思い、今回参加しました。
一般社会人でも、自然に会話できる場所
参加して、まず驚いたのは、私のような一般社会人でも、ごく自然に会話ができたことです。
懇親会では、専門用語を並べ立てるような堅苦しさはなく、ざっくばらんな雑談の中で、生き物への向き合い方や観察の面白さを共有できました。「学会=近寄りがたい」という印象を持っている方がいれば、それは少なくとも、この学会には、そのような雰囲気はありません。今回の参加では、学会の大会や、豊橋市自然史博物館の見学、のんほいパーク(豊橋総合動植物公園)の様々な施設を楽しませて頂きました。

普及講演会「砂の中のミクロな世界」
大会の締めくくりとして行われたのが、
軟体動物多様性学会 普及講演会「砂の中のミクロな世界 ~間隙性ウミウシ類の多様性をさぐる~」です。
この講演は、学会員や学会の参加者だけでなく、一般の来館者も聴講できる形で行われました。
砂の隙間という、普段ほとんど意識することのない環境の中に、 非常に小さなウミウシや生き物たちの世界が広がっているという内容は、専門知識がなくても純粋に「面白い」と感じられるものでした。
「こんな世界が、砂浜の足元にあったのか」と、自然を見る視点が少し変わるような講演だったと思います。
学会は「特別な人の場所」ではなかった
今回、初めて大会に参加して強く感じたのは、学会は、思っていたよりもずっと開かれた場所だったということです。
研究者、学生、飼育者、愛好家、そして一般の市民。
立場は違っても、「軟体動物が好き」「もっと知りたい」という気持ちは共通しています。
もし、軟体動物多様性学会に興味はあるけれど、「自分が行っても大丈夫だろうか」と迷っている方がいれば、 一度、気軽に足を運んでみることをおすすめします。
学会は、遠い世界の出来事ではなく、生き物を好きな人達の日常と、確かにつながっている場所でした。

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