全部見ればもう完璧!?蜷守を作らないとニッポンが心配な理由3つのポイント

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今年の秋、私は東京都府中市にある大國魂神社を訪れました。この神社は1900年以上の歴史があり、境内の奥には、母乳信仰でも知られる大イチョウのご神木があります。その根元には、かつてキセルガイが採取されていた痕跡が深く残っており、樹皮がめくれ、根が露出しているほどでした。

長い年月をかけて人々が貝を掘り取ってきたその傷跡からは、千年以上にわたり信仰の対象となってきた重みが静かに伝わってきます。今回の記事では、こうしたキセルガイ信仰をモチーフとして制作したZINEについて、3つのポイントをご紹介します。

ポイント①:日本に残る「キセルガイ信仰」

日本のキセルガイ信仰とは

かつて日本の各地では、この小さなカタツムリの一種の貝が地域ごとにさまざまな願いを背負っていました。

九州地方──大木に宿る小さな守り神

九州では、神社の大木に生息するシーボルトコギセルやギュリキギセルが信仰の対象でした。

乾燥や飢餓に強く、殻にこもったまま数ヶ月も生きられる生命力から、旅や出征のお守りとして身につけ、無事帰還すると再び木に戻すという風習があったと伝えられています。

山口県・住吉神社の「蜷守」

山口県下関市の住吉神社では、キセルガイを象った「蜷守(になもり)」というお守りが販売されていました。現在は入手できないという記述を一般の方のブログで見つけ、その存在しないお守りに強く心を惹かれました。

熊本の「夜泣き貝」

熊本では、キセルガイは「夜泣き貝」と呼ばれ、夜泣きする子どもの枕の下に入れ、治ると木に戻すという風習があったといいます。

府中の母乳信仰

大國魂神社では、大イチョウの根元に生息していたキセルガイが母乳信仰の象徴とされました。

そのキセルガイは、煎じて飲むことで母乳の出が良くなると信じられていたようです。


こうして見ると、キセルガイは地域の暮らしと祈りの中に深く根づいた存在だったことがわかります😌

ポイント②:なぜ、こうした風習は失われつつあるのか

昔の日本の暮らし・風習はどこへ?

大國魂神社を訪れた帰り道、私は「なぜ、こうした風習や信仰は失われつつあるのか」と考えました。

  • キセルガイを身近で見かけることが少なくなった
  • 祈りや風習よりも、医学・科学を拠りどころにする価値観が広まった
  • 自然や生き物へ向けられていた畏れや敬意が薄れてきた

近年のパンデミックを経て、人々の価値観は大きく揺れ動きました。

科学技術が絶対ではないことを知り、同時に、SNSやAIなどのデジタル化が急速に進んでいきました。

便利になる一方で、私たちが自然との距離をさらに遠ざけてしまうことへの不安も感じています。

失われていく信仰や風習は、単なる“迷信”ではなく、自然と共に暮らしてきた人々の知恵や祈りの形だったのではないか🤔

そんな思いが強くなりました。

ポイント③:そして私は、自分なりの「蜷守」を作ることにした

お守りタイプのZINE「蜷守」

私は普段から、野外でカタツムリやキセルガイ、タニシ、カワニナなどを観察しています。

そのフィールド写真と記録をもとに、16ページのZINE「蜷守」を制作しました。

ZINEには、お守りの意匠をデザインし、かつての人々が感じた「自然への畏れと祈り」を現代の表現として再解釈しています。

これは、私なりの「自然を尊ぶ気持ち」を形にした小さな作品です。

失われつつある民俗の記憶を、今を生きる私たちにそっと手渡すような、

ささやかな“復刻”でもあります。

暮らしに寄り添う「蜷守」を目指して🏡

暮らしに寄り添う現代のお守りZINE

キセルガイという小さな巻貝は、その素朴な美しさだけでなく、人々の暮らしと祈りに寄り添ってきた存在でした。

「蜷守」というZINEが、忘れられつつある自然信仰の記憶を、そっと手のひらにのせるような作品になればと私は願っています😊

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