
百尺
先日の日曜日に、東京都の西多摩エリアの低山地帯を中心にカタツムリの散策活動をしていたところ、とんがり帽子の可愛らしいカタツムリの「タカキビ」を観察する事が出来ました。今回は、その「タカキビ」をご紹介します😊
関東地方におけるシタラ科の陸貝の状況

関東地方には、複数のシタラ科の陸貝が生息しています。シタラ科は、一般的に小型で殻が円筒形または紡錘形をしているのが特徴です。落ち葉や朽木の下、湿った岩陰などにひっそりと生息しているため、注意深く探さないと見つけるのが難しい種類が多いです。
シタラ科の陸貝は、その小さな体にもかかわらず、生態系の分解者として重要な役割を担っています。落ち葉や有機物を分解し、土壌の形成に貢献していると考えられています。そのため、小さい陸貝と言えども、その減少は、森林生態系全体の健全性にも影響を与える可能性があります。
シタラ科の陸貝「タカキビ」の生態的特徴

タカキビは、シタラ科に属する小型の陸貝で、殻高が約3〜4mm程度の小さなカタツムリです。以下に、その生態的な特徴をまとめました。
- 生息環境: 主に低山地の落葉広葉樹林やその周辺のやや湿った場所に生息しています。落ち葉の下や、湿った土壌の表面、岩の隙間などで見つかることが多いです。多摩地区のような自然が比較的豊かに残る地域では、まだ生息が確認されています。
- 繁殖: 繁殖期や産卵場所、卵の数など、詳しい生態はまだよくわかっていません。小型の陸貝であるため、観察が難しく、研究も進んでいないのが現状です。
- 分布: 日本固有種であり、伊豆諸島、本州 ( 中部以西 )、四国、九州に分布していることが知られています。しかし、局所的な分布をするため、生息地は限られています。
- 保全状況: 地域によっては、生息地の破壊や環境の変化により個体数が減少しており、準絶滅危惧種などの指定を受けている場合があります。
【参考資料】貝類_東京都環境局
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/049-_p563-580-
同定ポイントについて
タカキビとよく似たシタラ科の陸貝に、コシタカシタラガイがいます。どちらも、外観がとてもよく似ていますが、よく見ると異なる部分があります。
【参考資料】広島大学デジタルニュージアム:コシダカシタラガイ 広島大学東広島キャンパス
コシダカシタラガイ 広島大学東広島キャンパス - 広島大学デジタル博物館
- 殻の形状
- タカキビ: 一般的に、殻はやや寸胴な円筒形に近い形状をしています。殻高に対する殻径の比率が、コシタカシタラガイよりもわずかに大きい傾向があります。
- コシタカシタラガイ: こちらは、よりタケノコのような円錐形に近い形状をしています。殻高に向かって緩やかに細くなる印象です。
- 殻の表面
- タカキビ: 殻の表面には、細かい縦方向の筋(成長線)が見られますが、明瞭な螺肋(らせん状の筋)はほとんどありません。
- コシタカシタラガイ: こちらは、殻の表面に比較的明瞭な細かい螺肋が見られることがあります。
- 殻の色
- タカキビ: 殻の色は、淡い黄褐色から褐色をしています。
- コシタカシタラガイ: 同様の色合いですが、若干異なるニュアンスを持つことがあります。ただし、殻の色は個体差や環境による影響を受けやすいため、決定的な判断材料にはなりにくいです。
観察の際の注意点

- ルーペの使用: 小型であるため、ルーペなどの拡大鏡を使って細部を観察すると良いでしょう🔍
- ライトの準備: タカキビのような種類は、薄暗い所に生息しているようです。また、殻の溝など細かい部分の観察が必要なのでライトがあると良いです🔦
- 生息環境: 発見場所の環境情報(植生、湿度など)も、同定の参考になることがあります。タカキビは比較的低山地の湿った場所に生息する傾向があります。
今回の西多摩地区でのタカキビの観察は、単独で個体を発見しました。今回の同定は、カタツムリの専門書やインターネットで調べても「シタラ科」だろうな🤔という所までは、調べる事が出来ましたが、その先は難しい部分がありました。
ただ、SNSで投稿すると、種類の詳しい同定方法や種類が分かる方がいたので、教えてもらう事が出来ました😊
今の時代は、SNSを活用して同定するのも、新しい手段なのかもしれませんね🐌

コメント
カタツムリを減らさない自然保護運動の会を知りたいです。
今、野菜についていたカタツムリのツムリのお世話をして6ヶ月目です。3回目の産卵後、また休眠しているのか?気温は22度前後なのに活動しなくなってしまい心配です。都内住みなので自然がありません。ツムリが生まれた神奈川西部へ孵化しない卵と一緒に戻してみようか悩んでいます。どうしたらツムリにとって一番の幸せでしょうか?教えてください。よろしくお願い申し上げます。
コメントありがとうございます!カタツムリの自然保護や飼育しているカタツムリの状態が心配のようですね。私自身も、カタツムリの飼育をしているので、複雑な気持ちがするのは良くわかります😌先ず「カタツムリを減らさせない自然保護運動の会」についてです。私は「カタツムリの保全活動」については、2つの方法があると考えています。一つは、「昔、日本人が田園風景などと共に、かつて見ていたカタツムリがいるような状態に戻すための保全活動」、もう一つが、「絶滅が危惧されるカタツムリの保全活動」です。ブログで紹介したカタツムリの「タカキビ」は、昔は日本各地に存在していた「里山」という自然環境に生息していたカタツムリです。現在、日本は里山の自然環境が失われつつあります。その影響で、カタツムリの生息環境が少なくなっている状況があります。一方で、環境省や地方自治体、企業などの「サスティナブル活動の促進」の一環として、「里山復興活動」が日本各地で行われています。私自身も、過去に何度か「里山復興」の活動に参加しています💪このような「里山復興活動」に参加する事は、間接的に「カタツムリの保全活動」に繋がるのでお勧めです🐌なお「絶滅の危惧があるカタツムリの保全」は、専門家の方々が日夜努力されているので、専門家の方々にお任せしましょう😊最後に「飼育していたカタツムリを自然に戻す」というのは、実は非常に難しい問題で、私が調べたところによると「一度、飼育していたカタツムリは自然に戻すのは難しい」という事のようです😔なお、カタツムリは、粘液に含まれる化学物質で外部環境を把握しているという研究結果もあるので、今飼育しているカタツムリが一番幸せな環境というのは、その子が生息している環境という事のようです😊カタツムリは、飼育をすると元気が無かったり、卵が孵化しなかったり、最悪、亡くなってしまう事もあると思います😢ただ、カタツムリは意外と多くの人が飼育していて、SNSなどで飼育の様子が投稿されています。私自身も、SNSでたくさんの方のカタツムリの飼育の様子を見ていると、いろいろな気づきがありますよ。今回の内容がお役に立てれば幸いです🐌「こつむ日記」は、最新のカタツムリの飼育情報を掲載していますので、今後も、ぜひブログを見にきてくださいね😃