
先日、たまたまNHKラジオでカタツムリが話題になった番組を知り、配信で聴いてみました。テーマは「しっぽ」。番組タイトルは「カタツムリのしっぽはどこ?@千代田区」です。今回は、この番組から得た知見をもとに、私なりに考察した内容をご紹介します。
放送について

初回放送日は2026年6月16日。
4月下旬、新緑が美しい皇居のお濠端。都会の中心にありながら豊かな自然が残るこの場所で、異色の研究者同士の対話が始まります。
登場するのは、カタツムリの進化を追い続ける進化生物学者・千葉聡氏と、文学部から生物学へ転じた経歴を持つ「しっぽ学者」東島沙弥佳氏です。
シャチホコ、オタマジャクシ、トンボ──。
「しっぽ」と呼ばれるものは、どこからどこまでがしっぽなのか。
生き物に名前を与え、境界線を引いて秩序づけてきた人間の営みを問い直しながら、生物と文化の不思議な関係について語り合う内容でした。
生物学における「しっぽ」とは

番組では、「しっぽ」にはさまざまな意味や捉え方があることが紹介されました。
その一方で、生物学では比較的明確な定義があります。
Wikipediaによると、脊椎動物の尾とは「肛門より後ろに突出した身体の部分」を指します。
つまり、生物学的には「排泄口より後方にある身体の一部」が、しっぽと考えられているのです。
広義の「しっぽ」

しかし千葉氏は、トンボやオタマジャクシ、さらにはカタツムリを例に挙げながら、脊椎動物以外にも「しっぽのような器官」が存在すると指摘します。
特に興味深かったのは、カタツムリの話です。
カタツムリの排泄口は頭部近くにあります。そのため、生物学的な定義をそのまま当てはめると、「前」と「後」を単純に区別することが難しくなります。
これは、巻貝の進化の過程で生じた「ねじれ(torsion)」によるものです。
私たち人間の感覚では、殻の反対側がお尻のように見えます。しかし実際には、カタツムリの体は私たちが思っている以上に複雑な構造をしているのです。
カタツムリのしっぽはどこなのでしょうか?

ここまでの話を踏まえると、「カタツムリのしっぽはどこか」という問いには、一つの正解があるわけではなさそうです。
そこで、私なりにいくつかの仮説を考えてみました。
【仮説①】
カタツムリの体はほとんどしっぽ説
生物学的にしっぽを「排泄口より後ろの部分」と定義するなら、頭部近くに排泄口を持つカタツムリは、体の大部分がしっぽということになります。
極端に言えば、カタツムリは「ほとんどしっぽでできた生き物」と考えることもできるかもしれません。
【仮説②】
殻の後ろから伸びる軟体部しっぽ説
一般的にカタツムリを観察すると、殻の後方から伸びる柔らかい部分を「しっぽ」と呼ぶことがあります。
生物学的な定義とは異なりますが、多くの人が直感的にイメージするしっぽはこちらでしょう。
【仮説③】
カタツムリのしっぽは殻説
なお、番組では、脊椎動物の尾の形成と貝類の殻形成に関わるWnt遺伝子の働きに共通性があることが紹介されていました。
さらに、実験的に貝類のWntの働きを操作すると、殻の形が変化することもあるそうです。
もし、しっぽをつくる仕組みと殻をつくる仕組みに進化的なつながりがあるのだとしたら──。
私たちが「しっぽ」だと思っていたものは、実は殻へと姿を変えたのかもしれません。
もちろん、これらは私なりの仮説に過ぎません。
当たり前の揺らぎ

「カタツムリのしっぽはどこですか?」という素朴な問いから、生き物の体のつくりや進化、さらには人間がどのように世界を分類し、理解しているのかまで考えられるのは、とても面白いことだと思います。
私たちは普段、「前」「後ろ」「頭」「しっぽ」といった言葉を当たり前のように使っています。しかし、カタツムリという生き物を前にすると、その当たり前が少し揺らぎ始めます。
さて、あなたはどの説が一番しっくりくるでしょうか?
あるいは、第4の「カタツムリのしっぽ説」があるかもしれません。
もし面白いアイディアがありましたら、ぜひ本ブログまでお寄せください🐌
※本記事はNHKラジオ番組「カタツムリのしっぽはどこ?@千代田区」を視聴して得た知見を参考に、筆者自身の考察をまとめたものです。

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