
今回は、私が兼ねてから不思議に思っていた「カタツムリの歩みの謎🤔」を取り上げて、カタツムリのように私自身が腹ばいで前進する例と比較して、カタツムリの進行波の仕組みと粘液の関係を考察します🐌
縛られた私自身とアメフラシの腹足の歩み

例えば、私が両腕、両足を縛られてうつぶせにされているとします。私は、なんとかその部屋から脱出するために運動を試みます。おそらく、頭がある前方部を力点として固定を移動させながら、顎使い、上半身の筋肉と床の断面の摩擦を利用して、ある程度は前進することは可能だと思います。一般的に、この運動は匍匐前進とも呼ばれますが、さらに私は仮定として、両腕、両足が縛られているイメージです。

軟体動物のアメフラシの腹足は、前方から後方へ筋肉が移動します。そのため、腹足の進行波は、前方から後方へ移動する動きになります。
この場合の自分が床に縛られている状態と、アメフラシを比較した場合に、力点の動きや、進行波が前方から後方に動いているように見えることには、疑問の余地はありません。
カタツムリやナメクジの腹足の歩みの不思議
カタツムリやナメクジの進行波は、腹足の筋肉の伝播と、進行方向が同じです。もし私が両腕、両足を縛られて腹ばいの状態であると仮定すると、つま先の後方から前方に地面との摩擦を発生させながら前進する事になります。しかしながら、私の場合、この前進運動は、かなり困難だと思われます😅
そこでカタツムリやナメクジは、進行波と進行方向が同じなのに、なぜ前進が出来るのか?という疑問を私は持っていました😌
私とアメフラシの前進とカタツムリの違い:摩擦のコントロール
私とアメフラシの前進の場合

- 床との摩擦を活用して前進するには、体の前方に「力点」を作る必要があります。
- 私とアメフラシは身体と地面の摩擦をコントロールする力が乏しいという共通点があります。
- 前進するためには「前方を固定し、後方を押し出す」という動きが求められます。
- このような運動の連続により、私やアメフラシは、前方を軸に固定して、力点を作り身体を前進させます。
カタツムリとナメクジの前進の場合

カタツムリは、非ニュートン流体性を持つ粘液を用いることで、摩擦の大きさを自在に変化させています。カタツムリのネバネバの粘液は、チューブに入った歯磨粉のように、「むにゅー」と体内から分泌されるものなのです😊そして、このカタツムリの粘液は非ニュートン流体性を派生させたビンガム流体という性質を持っています。

※チューブに入った歯磨き粉やケチャップは、一定の力が加わると液体のような振る舞いをします。これを非ニュートン流体と言います。また、力が加わらなくても水のように液体として振る舞う物質は、ニュートン流体と言います。
※ビンガム流体とは、ある一定以上の力を加えると流れ出す「固体⇄液体」の特性を持つもので、降伏値という個体から流動性を持つものに変化する閾値を持っています。歯磨き粉の他には、バターや絵の具がビンガム流体の代表例です。
カタツムリの「粘液」と「筋肉」の連携
カタツムリの前進運動を理解するためには「粘液」と「筋肉」の協調的な働きが重要になります。
⚫︎粘液の役割
・カタツムリの粘液はビンガム流体の性質を持っています。
・これは、一定以上の力が加わると流動し、それ以下では固体のように振る舞うという特徴があります。
・腹足が地面を押すと粘液が流動化し、足を滑らせることが可能になります。
・逆に、収縮した部分では粘液が固化し、地面に強く「固定」されます。
⚫︎筋肉の役割
・腹足の筋肉が後方から前方へと順行波を作り出します。
・この筋収縮により、腹足の一部が縮んで地面に強く押し付けられ、粘液を固化させて「固定点」を作り出します。
・一方で、弛緩した部分は粘液が流動化し、「滑る部分」として機能します。
この「固定」と「滑り」の連携によって、カタツムリやナメクジは進行波の動きと進行方向が同じでも前進できるのです。

我が家のこつむの歩み10倍速
今回、我が家のこつむが小瓶の中を歩む姿を撮影した動画を10倍速にして観察しました。すると、腹足の前方の波の動きは、後方の波の動きと比べると、進行波の動きが活発である事が分かりました🐌
この腹足の進行波の動きの違いも、カタツムリの歩みに大きな影響を与えているように思われます🤔
今回は、カタツムリの腹足から分泌される非ニュートン流体の一種であるビンガム流体と進行波の関係を考察しました👨🎓しかしながら、腹足の進行波の動きの違いなどを含め考えると「カタツムリの歩み」というのは、まだまだ不思議な事が多いように感じています😌
引き続き、我が家のカタツムリを観察しながら、ゆっくりと「カタツムリの歩み」の考察を続けたいと思います😊
【参考資料】ナメクジはどうやって進んでいるの?

【参考資料】知識の宝庫!目がテン!ライブラリー
【参考資料】粘液を利用した腹足類這行運動メカニズム
https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1853-26.pdf
【前回の考察記事】こつむ日記

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