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秋川渓谷にて毛がふさふさの小さな陸貝を発見! サドヤマトガイとの出会いをオジサンは語る

生態
百尺
百尺

先日の雨が降った翌日のカタツムリの散策で、毛がふさふさ生えた不思議な陸貝を発見しました!そして、その様子をスマホで撮影し、動画をSNSに投稿すると、フォロワーの方がその陸貝の名前を教えてくれました📱それが今回出会った陸貝「サドヤマトガイ」です。今回は、そのサドヤマトガイをご紹介いたします😊

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サドヤマトガイとは? ― 特徴と分布

苔を食べるサドヤマトガイ😋

サドヤマトガイ(Japonia sadoensis)は、ヤマタニシ科に属する微小な陸貝で、殻径は約5mm、殻高は約4mmほどです。濃茶褐色の低い円錐形の殻を持ち、表面には微細な螺脈が走っています。特に特徴的なのは、体層に沿って2列ほどの毛の列が並ぶ殻です。その毛の生えた殻は、光を反射してわずかに煌めき、小さいながらも力強い生命の存在を語りかけてくるようでした。

私は思わず「毛が生えているな🤔」と呟きました。

本種は本州(関東・新潟県以西)、四国、九州の山地に局限的に分布し、落葉や小石の隙間など、湿潤で比較的乾燥気味の環境に生息しています。環境省によって「準絶滅危惧(NT)」に指定されています。なお、東京都では絶滅危惧Ⅰ類に分類されています。

【参考資料】レッドデータブック

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/red_data_book-redlist2020-files-16_kairui_rl2020_2

名前の由来とタイプ産地 ― 佐渡島とのつながり

佐渡は、独自の進化を遂げた生き物が多い場所です👨‍🎓

「サドヤマトガイ」という和名には、地名「佐渡」が冠されています。これは、1903年にこの種が新種として記載された際、基準標本(ホロタイプ)が佐渡島で採集されたことに由来します。こうした場所は「タイプ産地」と呼ばれ、その種の命名と分類の基準点となります。

ちなみに佐渡島には、サドカケスやサドマイマイをはじめとした固有種が多く、地理的隔離によって独自の進化をとげた生物多様性の宝庫でもあります。サドヤマトガイもその名に、島の生物学的な歴史の一端を刻んでいると言えるでしょう。

秋川渓谷での観察記録

東京都の秋川渓谷周辺の陸貝🐚

私がこの貝を観察したのは、東京都あきる野市にある秋川渓谷沿いの低山地帯です。周辺は石灰岩が豊富に露出し、地表には苔が一面に広がっています。日中でもほとんど日が差し込まないほど木々に覆われた湿潤な環境でありながら、すぐ近くには人家もあり、一部では人為的な整備もなされているエリアでした。そして、地元の神社の近くには、多くの陸貝が生息しています⛩️

類似種との同定のポイント

サドヤマトガイとオカチョウジガイ

サドヤマトガイの同定には、類似種との比較が必要です。特に以下の2種とのヤマトガイとの違いに注意が必要です。

  • イノウエヤマトガイ(Japonia inouei
    紀伊半島に分布。毛状突起の先端がスプーン状に広がることで明確に区別されます。
  • トウカイヤマトガイ(Japonia katorii
    本州中部に分布。毛状突起は殻の周縁に1列のみ。サドヤマトガイの2列以上という特徴と対比的です。

サドヤマトガイは、より高い螺塔と、丸みを帯びた周縁、そして2列以上の長い毛状突起を持つことで、トウカイヤマトガイと明確に区別できます。

【参考資料】トウカイヤマトガイ(Wikipedia)

トウカイヤマトガイ - Wikipedia

おわりに ― 小さな貝が語る自然の奥深さ

ルーペ越しに見る豊かな自然がそこにはあります🔍

ルーペ越しに見つめたサドヤマトガイは、私に「どこにでもいる自然」ではなく、「そこにしかいない自然」の存在を静かに教えてくれました。東京には意外にも自然豊かな場所があり、目を凝らせば、絶滅の瀬戸際に立たされている命が息づいています。

私たちがどれだけの「小さな命」に気づかずに過ごしているのか。そのことを考えながら、私はこれからも足元の自然と対話を続けていきたいと思います。サドヤマトガイとの出会いは、その一歩として、忘れがたいものになりました。

※この記録は個人的な観察に基づいています。希少種の採集・移動・持ち帰りは法律で規制されている場合があります。観察の際は十分に注意し、生息地の保護にご配慮ください。

SNSで投稿した動画。サドヤマトガイ(ブログ筆者撮影)


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