ロンドン在住のフリーランスのサイエンスライターのフィリップ・ボールは「自然がつくる不思議なパターン」を2016年に発刊。この本は、自然のパターンを題材にした内容となっており、また、資料がとても豊富で、とても美しい写真集です。今回は、この本からインスピレーションを受けて「カタツムリがつくる不思議なパターン」をご紹介させ頂きます👨🎓
カタツムリの歯舌と対称性
カタツムリの歯舌は、舌の表面に1万本以上の歯が並んだ器官です。この歯舌を使って、カタツムリは食べ物を削り取って食べます。歯舌はやすり状になっていて、前後に動かすことで食べ物を削り取ります。カタツムリは、歯舌を使って葉っぱや木の実、さらにはコンクリートや石膏なども食べることができます。
画像:Wikipediaより引用
そして、そのカタツムリの歯舌は、とても美しい対称性を持っています。
画像:Nikon Small World/カタツムリの歯舌の拡大写真
カタツムリは、こんなに美しい歯で食事をしているのです。人間もカタツムリを見習って、美しい歯を保ちたいものですね😊
カタツムリの殻のフラクタル構造
株式会社LIXILの井須 紀文氏は、カタツムリの殻の表面組織のフラクタル解析を実施。カタツムリの殻には非常に大きな範囲でフラクタル構造が保たれている事を発見しまた。また、このフラクタル構造により、カタツムリの殻は、汚れが付きにくい構造となっている事が判明し、このカタツムリの殻の構造は、現在では、建築業界に応用され「汚れの付きにくい外壁作り」に役立てられています。
株式会社LIXIL 井須 紀文氏 「生物に学ぶ防汚材料:カタツムリから学ぶ技術」
※画像:ミヤマ株式会社 環境分析測定&リサーチより引用
カタツムリの殻は、拡大、縮小しても広範囲に波状のフラクタル構造を持っています。この構造により、カタツムリの殻は「汚れが付きにくい構造」となっています🐌
そもそも汚れにくい殻を持っているなんて、カタツムリは、とてもキレイ好きなんですね☺️
カタツムリの殻のらせん構造
カタツムリのらせん構造は対数らせんと呼ばれる構造をしており、左巻きと右巻きとに種類が分かれます。
画像:2010年12月8日 日経新聞「カタツムリ、左巻きだと食べられにくく」の記事より引用
また、対数らせんには数学的には以下の特徴があります。
- 螺旋の各点において、接線の傾きは一定である。
- 螺旋の各点において、接線と原点を通る直線の成す角は一定である。
- 螺旋の各点において、螺旋の長さは半径に比例する。
- 螺旋の各点において、螺旋の面積は半径の平方に比例する。
画像:Wikipediaより引用
また、対数らせんの中心部は原点の0を通っているように見えますが、実は0に向かっても、らせん構造が無限に続きます。対数らせん構造は、宇宙の銀河のような大きなスケールで見ても、またその銀河が、一粒の砂のようになるまで縮小させても、らせん構造を保っています。これを自己相似といい、スケール不変を有する特徴を持っているとも言います。
幾何学的構造が美しいロマネスコの花蕾(からい)は、自己相似の代表例です。
ただ、数学的な自己相似は♾️を含みますが、自然界の構造は、厳密的には自己相似の近似です。
カタツムリは一つの宇宙
今回は、カタツムリには、様々な不思議なパターンがある事をご紹介させて頂きました。この他にもカタツムリの腹足の波動や様々な殻の模様、触覚の対称性など、この自然の世界に存在する、様々なパターンや形が、一匹のカタツムリの中に凝縮されています。「まるで、カタツムリは一つの宇宙のようである」と、言っても過言では無いと思います🚀
そろそろ梅雨入りも近いようですが、もし外でカタツムリを見かける事があったら、その小さいカタツムリに思いを馳せて「無限の宇宙」のような壮大なスケールを感じ取って見てくださいね😊
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