
私は、カタツムリを飼育して不思議に思っていたことがあります。それは、度々カタツムリたちが同じ場所に集まっているということです。今回は、そんなカタツムリの不思議な習性を中心にカタツムリの世界を考察します🤔
カタツムリが見せる不思議な行動

カタツムリを飼育していると、同じ場所に集まっている光景をしばしば観察します。
私は、この状況を以前から不思議に思っていました😌
「もしかして、カルシウムが不足して、お互いの殻に惹かれているのかな🤔」と思っていたこともありましたが、飼育ケースに卵の殻やイカの軟骨をたくさん入れても、状況にはあまり変化がなかったので、どうやら別の原因がありそうだと考えていました🐌
カタツムリの追跡

カタツムリは、他の個体の後を追跡しているようなしぐさを見せることがあります。何か追いかけっこをしているような様子です。とくに、冬眠明けの繁殖時期に見られる行動なので、「きっと、繁殖のパートナー探し」をしているのだろうと考えていました😊
ユクスキュルの環世界について

私のように、普段私達は、人間の持つ認知機能を使って対象を観察する事が一般的です。
しかし、それは、ある意味で「一つのサングラスをかけて対象を見ている」に過ぎません😎
一方で生物学には「対象の生物が持つ認知機能」から生物を認識する、「環世界」という学問があります👨🎓
本ブログでも、度々解説していますが、「環世界」は、現代の生成AIにも活用される、とても重要な概念です。

やや難しい概念なのですが、要するに「生物自身が意味づけ、働きかける独自の世界」を指しています。
私たちは生き物(カタツムリを含む)を人間という立場と世界観から観察しています。
そして私たちは主体的かつ能動的に対象を観察し、その行動を認識していると考えています。
しかし、本来対象の生き物たちにとっては、人間がどのように認識しているかというのは、あまり意味がありません。
その生き物にとって、主体的かつ能動的な意味を持つ世界というのは、その生き物の認識機能によって異なる世界があるのです。
この考え方を環世界と言います。
カタツムリの環世界とは

トム・ヴァン・ドゥーレンは、シドニー大学人文学部教授で環境哲学者です。ドゥーレン教授は、主に種の絶滅や絶滅の危機に瀕している種と人間の絡まり合いの中で生じる哲学的な問題などを取り上げています。
そして、ドゥーレン教授は、ハワイを訪れて自然のカタツムリを観察し、その絶滅へと向かう様子に警鐘を鳴らし、その主張は著書「カタツムリから見た世界」にまとめられています。
なお、著書では「カタツムリは粘液やフェロモンにより、独自の環世界に生きている」旨が記されています🐌
カタツムリの粘液が語るカタツムリの意味

私が観察した「カタツムリが集まる習性」や「カタツムリ同士の追跡」などは、「カタツムリが粘液やフェロモンによって対象を認識している世界」の一端だったのです。
そして、その粘液の環世界により、無事にカタツムリはパートナーに巡り合うことができるのです😊
意味と言語とは🤔

ドゥーレン教授は、ユクスキュルの環世界にも影響を受けており、著書の中で以下のように述べています。
ユクスキュルは、こうした多様な世界を想像するよう呼びかけながら、意味は言語に還元できず、意味を作り交換するのは、一般に考えられているように、人間のような言語を使う種だけではないと主張した。
トム ヴァン ドゥーレン. カタツムリから見た世界:絶滅へむかう小さき生き物たち (p. 65). (Function). Kindle Edition.

私たちは、カタツムリのような小さな生き物が、意味を粘液から作り出しているとは、なかなか思いも寄りません。皆さんが飼育しているカタツムリは、どのような行動を見せていますか?もしかすると、カタツムリの目線で世界を想像してみると、新たな発見があるかもしれませんね😊

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