カタツムリの呼吸には、現代の生物学でも、中々解明する事が出来ていない、生物の進化の謎が秘められています🤔
今回は、カタツムリが属する、軟体動物の貝類の様々な呼吸の方法を解説し「軟体動物腹足綱有肺類」のカタツムリの呼吸の不思議に迫ってみたいと思います😤
海の貝の呼吸方法
冒頭で述べたように、カタツムリは、軟体動物であり、貝類の仲間です。一般的に海に住む貝の呼吸方法は「鰓(えら)呼吸」といい、海中に溶け込んだ、酸素を海水ごと鰓(えら)の中に取り込んで、水中に二酸化炭素を吐きだして呼吸をしています🐚
なお、呼吸をした海水は、一旦外套膜(殻の中)の中のスペースに取り込み、そして吐き出しています🌬️
ところで、鮑(あわび)などの貝殻に穴が複数空いているって知ってましたか?実は、あの貝殻の穴から鮑(あわび)は呼吸と排泄をしているのですよ☺️
カタツムリの呼吸方法
カタツムリは貝の仲間なのですが、実は呼吸は、肺呼吸です😊また、学術的な分類では有肺類といい、貝類が持つ外套膜(殻の中)が肺に変化しており、外套膜の空間に空気中の酸素を取り込み、呼吸をしています。
また、呼吸をするための穴(呼吸孔)が一つ空いていて、そこから呼吸をしています。なお、排泄をする穴も呼吸をする穴と、とても近いところにあり、その点は鮑(あわび)と似ています😃
補足:両性類の呼吸について
カエルやイモリなどは両性類といいます。幼生期には鰓(エラ)で呼吸し、成長すると肺で呼吸します。また 魚類から進化し、初めて陸に上がった動物はイクチオステガ(約3億6,700万-3億6,250万年前)という名前で、両性類の始祖とも言われています。
鰓呼吸と肺呼吸をする貝類
田んぼに生息する「タニシ」は、幼貝の頃は鰓(えら)呼吸ですが、成貝なると鰓(えら)呼吸のほか呼吸管を伸ばし肺呼吸もします。
また、海の貝類の中には、カタツムリと同じ軟体動物腹足綱有肺類に属して、鰓(えら)呼吸と肺呼吸をする、カラマツガイという貝がいます。
このカラマツガイは、両生類的な有肺類で、かつ生物学的にはカタツムリとほぼ同じ分類に属しています。
カラマツガイの研究論文について
筑波大学では、飯島実氏が2008年度に、カラマツガイの研究をもとに、軟体動物有肺類の肺形成に関する研究成果を発表しています。また研究概要では以下の内容を述べています。
多細胞動物の陸上化進化の一要因を発生過程の肺形成イベント獲得と捉え、その様な視点での研究対象となっていなかった冠輪動物について肺形成の発生メカニズム解明を目的に、軟体動物有肺類を用い研究を行った。有肺類のカラマツガイにおいて発生過程を観察するとともに、マウス等で気管形成に関与する遺伝子の単離を試みた。
軟体動物有肺類の肺形成に関する研究:動物の陸上化の進化と多様性について
「単離」とは、遺伝子情報を、可能な限り分解したという意味です。
また、論文では有肺類には特有の塩基配列(イントロンの数)が観察された内容が記されており、更なる、腹足綱有肺類の肺呼吸の獲得のプロセスの解明の一助となった旨が述べられています👨🎓
※イントロンについて
真核生物では、タンパク質の情報に相当する部分が遺伝子DNA中で分断されている場合がほとんどです。遺伝情報がコードされている部分をエクソン(翻訳配列)といい、遺伝情報がコードされていない部分をイントロン(非翻訳、介在配列)といいます。
研究用語辞典 イントロンとエクソンとは
【参考文献】軟体動物有肺類の肺形成に関する研究:動物の陸上化の進化と多様性について
カタツムリは不思議がいっぱい
普段、普通に見かける動物が、実は謎だらけという話しは、良く聞きます。
しかしながら、カタツムリのような軟体動物は、その冴たるものです。なんと、DNAの配列にも、不可思議な部分(研究の余地)が隠されているのです😤
もし、興味があれば、身近な動物や生き物について、じっくり観察してみて下さい。自然の生き物には不思議な事が、とても多い事を知る事になると思いますよ😊
【参考文献】貝の図鑑
人気ブログランキング
コメント